- 2020.04.24 Friday
素材ヒストリア ひまし油編
JUGEMテーマ:手作り石けん
(文責:河野)
オリーブ油やごま油は食卓でもおなじみですが、石けんづくりにもよく使っている「ひまし油」はどんな油なのか、あまりピンとこない方も多いかもしれません。もともと食用の油ではなく、医薬品や工業用の原料として活躍してきた油だからです。
ひまし油はトウゴマという植物の種子からとれる油です。トウゴマは蓖麻(ひま)とも呼ばれ、古代ギリシャの歴史家ヘロドトスが、その油を灯りとして、また体に塗る油として使用していたと記述するなど、古くから利用されてきました。体に油を塗る、という行為は日本ではあまり見られませんが、古代文明の発達したエジプトやメソポタミア、インドなどでは強い日差しや乾燥から肌を守るために、よく行われていたようです。
油としてではありませんが、トウゴマは旧約聖書の中の「ヨナ書」でクライマックスを飾る植物として登場します。
あるとき、ヨナという人物が「悔い改めなければニネヴェの街を滅ぼす、悪の道を離れるよう伝えよ」という神の声を聞きますが、怖気付いてニネヴェとは反対のタルシシ行きの船に乗ってしまいます。ところがその船が暴風雨に見舞われ、なんで神様のいうことに従わないのかと皆に責められ、海に投げ込まれるなどすったもんだの挙句、心を入れ替えて神様の声を伝えるためにニネヴェの街を訪れました。
そして「40日後にニネヴェは滅びる」と大声で預言したところ、ニネヴェの人々は神を信じて悪の道を離れました。ところがヨナは「ほらな、だからワシは行きとうなかったんや! 滅びるて言うたワシがアホみたいやないか!!」と拗ねてしまいます。
そして、街はずれで成り行きを見守っていたのですが、神様は暑さからヨナを守ろうと、トウゴマを生えさせ、ヨナの頭の上に日陰を作ってあげた・・・というお話です。そのあとにオチがあるのですが、それはぜひ聖書を手にとって、読んでみてください。
そのトウゴマですが、葉っぱが大きな掌のような形をしており、ヨナがその日陰で座っていたら、ちょうど神様の掌のように見えたことでしょう。
ひまし油は高い粘性をもち、機械油や化粧品などに使われています。また、痛みや炎症を抑えるリシノール酸という不飽和脂肪酸を含んでおり、皮膚の保護や傷の手当など、医薬品としても用いられてきました。化学的には、水酸基を2個持つことから反応が非常に速いという特徴があります。石けんに用いると、大きく華やかな泡となります。
もくせい舎では、聖書のエピソードからとられた「パルマ・クリスティ(キリストの掌)」の名を持つ石けんと、リンスいらずの石けんシャンプー「おじゃるシャンプー」、オリーブオイル94%の石けん「デクレット・レアル」などにひまし油を用いています。
- 石けんについて
- 19:43
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