JUGEMテーマ:日々徒然

 

(文責:河野)

 

今暮らしているのはマンションの3階。南向きのベランダは日当たりがよいので、鉢植えで花やハーブを育てています。その中に虫除けになるという説明書きに惹かれて買ったハーブがありました。高さ30センチぐらいに育ってよく葉も茂ってきたころ、そこに大きな青虫がいるのを発見しました。しばらく観察しているとその青虫はやがてさなぎになり、そしてある朝、羽化したところに遭遇しました。青虫を見つけてから10日後のことでした。

 

さなぎ

 

 それからしばらくして、再び大きな青虫が現れました。今度は黒とオレンジのまだら模様で、その奇怪な姿に少々怖気ましたが、むしゃむしゃと無心に葉を食べる姿を見ていると、そんな虫でも愛おしく思えてくるから不思議です。蝶になるのが待ち遠しく、すっかり飼育者気分になっていました。

 ところがある日、姿が忽然と消えてしまったのです。ベランダの周囲には鳥もよく飛んできます。彼らの餌食になってしまったのか…。自然の理とはいえ、ただごとではない悲しみを感じたことを、今も思い出します。

 

幼虫

 

 しかし、いなくなったのには別の理由がありました。彼らは好みの植物をたっぷり食べて大きくなり、ときが満ちると猛然と歩き始めます。そして目立たない物陰や柱の上の方にたどり着くと、そこでさなぎになるのです。ハーブの鉢植えにいた幼虫も、まったく別のところでさなぎになっていました。ベランダの片隅に置いて物入れにしていた自転車のカゴの中でした。

 

 数日後の朝、そのさなぎから出てきたばかりの蝶を見ることができました。カゴの中では羽を広げることができません。どうするのかなと見ていたら、蝶はよろけながらカゴを出て、幼虫だった頃にいた鉢植えへ向かって移動していったのです。

 

アゲハ1

 

 

 まだ飛ぶ力のない蝶は、じっと見ていても逃げることはありません。葉っぱにしがみつくと、蝶はときおり羽を閉じたり開いたりしながらときを待ち、そして飛び去っていきました。

 

アゲハ2

 

 知識はあっても、いざ身近にその成長を見ていると、知らないことがとても多いことに気づきました。さらに不思議もことがありました。蝶は春から夏、そして秋から越冬して次の春、と年2回のサイクルで育っていくようでした。そして巣立っていった蝶は、自分が育った場所へ戻ってくるようなのです。ベランダのハーブとパセリの鉢植えは、アゲハが育つ牧場のような場所になっていきました。

 

アゲハ3

 

 しかし翌年、酷暑の夏がめぐってきました。アゲハが好んだハーブは暑さで葉が枯れ、そこにいたアゲハの幼虫は発育不良で骸になり、小さな小さな牧場は、養うものを失ってしまいました。

 この場所でないどこかで、また青虫がさなぎになり、艶やかな蝶になっているでしょう。その様子を眺めるひとときを楽しみに、ベランダには今もパセリの鉢植えが置いてあります。鮮やかなメタモルフォーゼがここでまた繰り広げられる日を待ち望みながら。

 

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